タンパク質1.6g/kg/日は何を意味する?Morton 2018
結論:1.62g/kg/日は「ここまで摂らないと無効」でも「これ以上は完全に無駄」でもありません。除脂肪量への追加効果が平均的に小さくなったメタ回帰上の折れ点です。
まず総摂取量を体重1kgあたり約1.6g/日へ近づけ、食事の好み、減量期、個人差に応じて調整するのが実用的です。
この記事の主な根拠
論文情報
| 原題 | A Systematic Review, Meta-analysis and Meta-regression of the Effect of Protein Supplementation on Resistance Training-induced Gains |
|---|---|
| 著者 | Robert W. Morton et al. |
| 掲載誌 | British Journal of Sports Medicine, 52(6), 376-384 |
| 発表年 | 2018 |
| 研究形式 | システマティックレビュー・メタ分析・メタ回帰 |
| 対象・規模 | 49研究、計1863人 |
| 比較・方法 | 6週間以上の抵抗トレーニングでタンパク質補給と対照を比較 |
| 主な評価項目 | 1RM、除脂肪量、筋線維断面積、大腿中央部断面積 |
| DOI | 10.1136/bjsports-2017-097608 |
49研究・1863人を統合した最大規模の分析
Mortonらは、6週間以上の抵抗トレーニングを行い、タンパク質補給群と対照群を比較した49研究を統合しました。筋力、除脂肪量、筋線維断面積、大腿中央部断面積を評価しています。
さらに総タンパク質摂取量と除脂肪量増加の関係をメタ回帰で分析し、どの摂取量から追加効果が小さくなるかを推定しました。
補給の平均上乗せは除脂肪量0.30kg
タンパク質補給による対照群への平均上乗せは、除脂肪量0.30kg(95%信頼区間0.09〜0.52kg)、1RM2.49kg(0.64〜4.33kg)でした。
筋線維断面積は310µm²、大腿中央部断面積は7.2mm²の上乗せが示されました。効果は統計的に確認されましたが、筋トレ自体の効果に比べれば補助的です。
1.62g/kg/日は回帰線の折れ点
メタ回帰では、総摂取量が1.62g/kg/日付近を超えると、除脂肪量への追加効果が平均的に頭打ちへ近づきました。体重70kgなら約113g/日です。
これは集団平均の推定値で、最低必要量でも安全上限でもありません。信頼区間、食事記録の誤差、個人差があるため、小数点以下まで合わせる意味はありません。
経験者・摂取不足・減量期では解釈が変わる
分析ではトレーニング経験者のほうが除脂肪量への上乗せが大きい傾向でした。一方、もともと十分なタンパク質を摂っている人では追加余地が小さくなります。
減量期は総エネルギー不足により筋量維持が難しくなるため、目標をやや高めに置く場合があります。ただし本論文だけで減量期の最適値を決めたわけではありません。
一日の目標量を食事へ配分する
体重×1.6gを概算し、3〜5回の食事へ分けます。体重70kgなら約112gなので、4回なら1回28g前後が目安です。食品で不足する分だけプロテインを使います。
- 総量を最優先する
- 1回20〜40g程度を複数回へ配る
- 2〜4週間は同じ基準で記録し、体重とトレーニングの進行を見る
よくある質問
- 1.6g/kg未満では筋肉が増えませんか?
- 増えます。1.62g/kg/日は追加効果が小さくなった推定折れ点で、効果の開始点ではありません。
- 2.0g/kg以上は無駄ですか?
- 一律に無駄とは言えません。減量期や個人差で使う場合がありますが、平均的な追加効果は小さくなりやすいと考えます。
- 体重は現在体重と目標体重のどちらを使いますか?
- 通常は現在体重で概算できます。体脂肪率が非常に高い場合などは、目標体重や除脂肪量を使う方法もあります。
まとめ
- 49研究・1863人を統合したメタ分析
- 補給の平均上乗せは除脂肪量0.30kg、1RM 2.49kg
- 1.62g/kg/日は集団平均の回帰上の折れ点
- 総量を食事へ配分し、不足分だけ補給する